いろは歌一覧

  1. いにしへの道を聞きても唱えても 我が行いに せずばかいなし
  2. 楼の上もはにふの小屋も住む人の 心にこそは たかきいやしき
  3. はかなくもあすの命をたのむかな 今日も今日もと 学びをばせで
  4. 似たるこそ友としよければ交らば われにます人 おとなしき人
  5. 仏神他にましまざず人よりも 心に恥じよ 天地よく知る
  6. 下手ぞとて我とゆるすな稽古だに つもらばちりも 山とことのは
  7. 科ありて人をきるとも軽くすな いかす刀も ただ一つなり
  8. 知恵能は身につきぬれど荷にならず 人はおもんじ はずるものなり
  9. 理も法もたたぬ世ぞとてひきやすき 心の駒の 行くにまかすな
  10. ぬす人はよそより入ると思うかや 耳目の門に 戸ざしよくせよ
  11. 流通すと貴人や君が物語り はじめて聞ける 顔もちぞよき
  12. 小車のわが悪業にひかれてや つとむる道を うしと見るらん
  13. 私を捨てて君にし向はねば うらみも起り 述懐もあり
  14. 学問はあしたの潮のひるまにも なみのよるこそ なお静かなれ
  15. 善きあしき人の上にて身を磨け 友はかがみとなる ものぞかし
  16. 種となる心の水にまかせずば 道より外に 名も流れまじ
  17. 礼するは人にするかは人をまた さぐるは人を さぐるものかは
  18. そしるにもふたつあるべし大方は 主人のために なるものと知れ
  19. つらしとて恨みかえすな我れ人に 報い報いて はてしなき世ぞ
  20. ねがわずば隔てもあらじいつわりの 世にまことある 伊勢の神垣
  21. 名を今に残しおきける人も人 心も心 何かおとらん
  22. 楽も苦も時過ぎぬれば跡もなし 世に残る名を ただ思うべし
  23. 昔より道ならずしておごる身の 天のせめにし おわざるはなし
  24. 憂かりける今の身こそは先の世と おもへばいまぞ 後の世ならん
  25. 亥にふして寅には起くとゆふ霧の 身を徒に あらせじがため
  26. のがるまじ所をかねて思ひきれ 時に到りて 涼しかるべし
  27. 思ほへず違ふものなり身の上の 欲をはなれて 儀を守れひと
  28. 苦しくとすぐ道を行け九曲折の 末は鞍馬の さかさまの世ぞ
  29. やはらぐと怒るをいはば弓と筆 鳥にふたつの つばさとを知れ
  30. 万能も一心とあり事ふるに 身ばし頼むな 思案堪忍
  31. 賢不肖もちひ捨つるといふ人も 必ずならば 殊勝なるべし
  32. 無勢とて敵を侮ることなかれ 多勢を見ても 恐るべからず
  33. 心こそ軍する身の命なれ そろふれば生き 揃はねば死す
  34. 回向には我と人とを隔つなよ 看経はよし してもせずとも
  35. 敵となる人こそは己が師匠ぞと 思ひかへして 身をも嗜め
  36. あきらけき目も呉竹のこの世より 迷はばいかに 後のやみぢは
  37. 酒も水ながれも酒となるぞかし ただ情けあれ 君が言の葉
  38. 聞くことも又見ることもこころがら みな迷ひなり みなさとりなり
  39. 弓を得て失ふことも大将の 心ひとつの 手をばはなれず
  40. めぐりては我が身にこそは事へけれ 先祖のまつり 忠孝の道
  41. 道にただ身をば捨てんと思ひとれ 必ず天の 助けあるべし
  42. 舌だにも歯のこはきをばしるものを 人は心の なからましやは
  43. 酔へる世をさましもやらで盃に 無明の酒を かさぬるはうし
  44. ひとり身をあはれとおもえ物ごとに 民にはゆるす 心あるべし
  45. もろもろの国やところの政道は 人にまづよく 教えならはせ
  46. 善に移りあやまれるをば改めよ 義不義は生れ つかぬものなり
  47. 少しきを足れりとも知れ満ちぬれば 月もほどなき 十六夜の空

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